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コラム
4Kの現在

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4Kの盛り上がるは感じるが、現場は...

RED DIGITA L CINEMA、ソニー、キヤノンなどが4K対応デジタルシネマカメラを発売し、超高精細動画への関心が高まってきています。こうした撮影環境の充実とともに、視聴環境でも2013年末からは4K対応ハイビジョンテレビも発売され、いよいよ4K動画時代が華開いてきているように見えます。

しかしながら、コンテンツ制作のワークフローを見渡してみると、まだまだ4K解像度の動画を扱うには心もとない状況でもあります。カメラとノンリニア編集環境、視聴環境は対応が進んできていますが、ライブスイッチング環境や、素材を保存するディスク環境/アーカイブ環境、制作したコンテンツの配布方法など、まだまだ越えなければいけないハードルはいくつも出てきます。

日本では、総務省が2014年に4K解像度のテレビ本放送を目指すとし、日本放送協会も2020年に8Kスーパーハイビジョン本放送の実現を目指すようです。4K解像度の放送の実現まで2年もないにもかかわらず、まだ機材が出揃ってはいません。

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カラーグレーディング作業が必須

現在出てきているカメラは、制作用向け。これまでのビデオカメラのように、カメラから出力されるファイルをそのまま編集して使用するよりも、イメージセンサーからの情報から現像処理を行って色作りをした上で利用することでフルに性能を生かすことができます。各社の編集ソフトウェアは、色作りを行う種のカラーグレーディング機能を充実させてきていますが、これまでのビデオ編集とは異なり必ず色作りをする必要が生じています。EDIUS Proは、カラーグレーディング機能は搭載していませんが、強力なカラーコレクション機能を持ち、3DCG素材との精密なコンポジションが必要のないカット編集であれば、充分にカラーグレーディング作業を進め、フィニッシングすることが可能です。

2つの異なる4K解像度

まず「4K解像度」について整理しておきます。4K解像度は、水平方向のドット解像度が約4000ピクセルであることを表しています。一言で「4K解像度」と言っても、その解像度には2種類あるということはご存知でしょうか。

1つは、デジタルシネマの上映規格であるDCIだ。これまで4K解像度と言えば、このDCI規格4096×2180ピクセルを意味しています。しかし、テレビでの利用が考慮され始めてから、フルHD 4面分にあたるQFHD(Quad Full HD)3840×2160ピクセルも4K解像度として取り扱われることになってきています。

つまり、4K解像度と言っていながら、2つの異なる規格が取り扱われることになってしまっているのです。このことが制作環境を導入するにあたり、混乱も引き起こしています。制作するコンテンツが、ハイビジョンテレビで視聴するものなのか、シネマ上映が必要なものなのかによって、使う機材が必要な解像度を満たしているかに注意する必要があります。モニタ環境などでは、DCI規格を満たす解像度をサポートするものが限られています。EDIUS Proなど、プロフェッショナル向けのノンリニア編集環境はどちらの4K解像度も利用できますが、周辺機材はまだまだ完全に4Kワークフローに対応しきれてはいません。

映画コンテンツとテレビ/イベントコンテンツ

実は、ハリウッド映画においても、全編4K解像度でのコンテンツは少ないのが現状です。4K解像度は、より自然なコンポジットを行うために活用されていることが多いのです。Appleのノートブック環境MacBook Proやスレート環境iPadで利用されて話題になったRetina液晶は15inchモデルで2,880 x 1,800ピクセル・220ppi (=pixel per inch)だが、通常の視聴距離ではドットピッチが見ないことで知られています。

視聴距離が約50cmだとすれば、横22.2×縦12.5cmであればRetina解像度です。リビング環境で考えれば、3m離れて見た場合で横133.2×縦75cm。対角60インチのディスプレイであれば、Retina解像度になってしまいます。デジタルシネマシアターのサイズで考えてみると、横15mのミニシアターならフルHDであっても20m離れてしまえばドットピッチは見えないことになります。コンテンツ制作の際には、どの位の距離から、どの位の大きさで視聴させるのかを考慮して、コンテンツ制作をする必要がありそうです。

2013年NAB SHOWでの4K

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2013年4月にラスベガスで開催されたNAB SHOW。会場では、4K解像度のワークフローに注目が集まっていました。この世界各地から参加者が集まってくる放送機器展の状況を見ても、4K解像度のコンテンツニーズは着実に増えてくると思います。スクリーンサイズを超え、建物の壁面などに投影するプロジェクションマッピングや、より生々しい映像を活用したい動画広告、動画と紙媒体を同時進行で扱うようなマルチ媒体制作、4K解像度の一部をフルHD/2K解像度で切り出した素材活用など、より高精細なビデオ素材が求められています。

4K解像度素材について、映画のメジャータイトルこそDCI規格でとされていますが、インディペンデントタイトルではQFHDで撮影して、上下をクロップして拡大してDCI規格に合わせる方向になりそうです。テレビやライブイベントの映像は、現在のフルHDの整数倍の解像度であるQFHDの方向に進みつつあります。そのフレームレートも、日本でこそ60pが検討されているが、海外の多くは30pでも充分という反応です。会場内の反応を見ていると、映画であればDCI 4096×2180ピクセル 24pフレーム、テレビ/ライブイベントはQFHD 3840×2160ピクセル 30pフレームというのが、4K標準コンテンツということになりそうです。

Text by 秋山 謙一(Ken Akiyama)