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オリエンテーション

03 | オリエンテーション

実際の収録までの作業の詳細を見ていきましょう。

調査、シナリオハンティング

構成やシナリオを書く前には十分な調査が必要です。 ドキュメンタリー番組では偶発的な出来事を収録するやり方もありますが、多くの場合、綿密な事前調査なしに映像としてまとめるのは困難です。調査方法としては、次のようなものがあります。

・書籍や参考資料などから情報収集
・出演者や関係者(クライアントなど)からヒアリングする
・現場を実際に視察する方法(シナリオ・ハンティング、「シナハン」)

どの方法も骨の折れる大変な作業ですが、映像作品のリアリティを増し、視聴者に深く訴えかける作品にするためには非常に重要な作業です。

構成

次に、調査によって得られた情報を使って、映像の大筋を組み立てます。これが構成作業です。

構成・シナリオ段階でのキーワードは「強調と省略」です。
苦労して得た情報ほど切り捨てづらいものですが、過大な情報をつめこんだ映像は、ポイントが不明瞭になってしまいます。企画の目的にあわせて、思い切った要約や単純化を行います。そして、話の流れやポイントがわかりやすいように、情報を伝える順番とそのつなぎ方を検討します。

情報を伝える順番とつなぎ方

一般的には、「起承転結」、「導入・展開・結末」、「序破急」などの構成をとると言われますが、過度に形式にこだわる必要はありません。伝えたいテーマを効果的に伝えられる構成であればよいのです。

シナリオ作成

シナリオは、これから作ろうとしている映像の「基本設計図」です。
映像制作における、よいシナリオの条件は次のようなものでしょう。ストーリーの良否だけでなく、制作する側としては、予算や収録の難易度などの観点も大切です。

・伝えたいテーマを正しく伝えている
・内容を効果的・魅力的に伝えている
・撮影・録音・素材入手に無理がない
・制作コストが予算内におさまる
・想定期間内に制作できる

ドキュメンタリー映像の場合は、内容の詳細は事前に決めることができません。したがって、収録前に作成するシナリオは完成した姿ではなく、「あるべき姿」を記述したものになります。これは「予定稿」と呼ばれています。予定稿は事前調査を踏まえた上である程度想像で書くしかないのですが、クライアントや出演者・スタッフの共通認識を作り、作業を効率的に進める上で、とても重要な役割を持っています。

予算書・スケジュール作成

プリ・プロダクションの工程では、何を作るかを決めるだけではありません。どうやって作るか、すなわち、資金や日程を決めることも重要です。特にビジネスとして映像を作る場合は、資金や日程は大切な条件となります。

シナリオ、予算、スケジュールはワンセット

ビジネスとして映像制作する場合には、まず、プリ・プロダクションの初期段階で、概算予算とスケジュールを見積り、クライアントに提出します。その後、クライアントや関係者と調整・修正しながら、シナリオ、予算、スケジュールを確定していきます。
シナリオの内容は予算や日程に大きく影響しますので、三者は個別には決められません。
比較的大きなプロジェクトの場合は、予算や日程はプロデューサーが決定権を持ち、映像の内容についてはディレクターが責任を持つというように、役割を分担するケースが多いでしょう。

映像制作の予算項目

およそ次のような項目に分けて算出されています。

プリプロダクション
企画脚本費 企画者や脚本家、シナリオハンティングの費用
プロダクション
スタッフ費 ディレクター、カメラマン、照明マン、録音マンなどの人件費
機材費 カメラ、照明など、プロダクションに使う機材
テープ
消耗品費
撮影用テープや照明ランプなどの消耗品
出演料 レポーターや役者さんの人件費
美術費 大道具・小道具・衣装などの費用
(スタジオ付の場合はスタジオ費に入れる場合もある)
ロケーション費 ロケ撮影の交通費、場所使用料など
ポストプロダクション
特殊効果費 C.G.(コンピュータグラフィックス)やアニメなど、
映像素材の作成や合成処理の費用
音楽費 作曲や選曲の人件費
音楽素材を使う場合の著作権使用料
編集・MA費 編集・MAスタジオの使用料(スタッフ人件費も含める)
パッケージ費
エンコード費
DVDそのほかのメディア作成費用
ウェブ配信のためのエンコード費用
間接費
通信費
交通費
雑費
電話代や打ち合わせの交通費、振り込み手数料など
制作管理費 プロジェクト全体を管理するための諸経費
(仕事によっては、計上しないこともある)

スタッフ・キャスティング

シナリオ、予算、スケジュールをかんがみて、出演者や各工程作業者など、スタッフのキャスティングを行います。

ロケハン

ロケハンとは、ロケーション・ハンティングの略で、画コンテ作成時や実際の収録の前に、実際に収録を行う場所を下見することです。

ロケハンは単なる撮影対象の確認ではなく、次のような多面的な確認を行います。そのため、実際の収録とできるだけ同じ条件下(同じ時間帯、曜日等々)にロケハンを行うことが望ましいでしょう。
また、ロケハンの結果によってはシナリオを修正する必要が出てくることもあります。ロケハンから実際の収録までは余裕を持ったスケジュールを設定することも大切です。

・収録場所の広さ(機材設置場所や被写体との距離)
・雨風の影響(屋外の場合)
・背景(映したい物、映したくない物)
・時間的な特別事項(朝は通学の人通りが多い、その曜日は休館日など)
・外光や屋内照明の強さ、向き、種類
・音響環境(壁の材質や空間の大きさ、外部騒音など)
・電源の有無と種類(電圧、電源容量、コネクタの形状など)
・安全面(危険な場所、機械や取扱い注意の薬品など)
・待機・休息場所、トイレ・水道などの有無
・収録場所への移動時間、集合場所
・その他必要な機材・用具の把握