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納品

06 | 納品

テープ納品

ディスク型・メモリ型の記憶媒体が全盛の昨今ですが、映像業務では今でもテープ納品が中心です。SDならベータカムかDVCAMかD2、HDならHDCAMかDVCPro-HDというのが一般的です。テープ納品のルールは、テレビ局の場合などでは納品基準として定められているのでそれを守ってください。特に指定されなかった場合でも、以下のように作るのが一般的です。

テープ構成

  • カラーバー&1kHz音
    SMPTEのカラーバーを入れ、こちらの環境の出力色の基準を示します。1kHzの音の音量は、アナログの場合は0VU、デジタルの場合は-20dBが一般的です。1分程度入れておきます。

  • クレジット
    VP納品のときは省略されることが多いですが、番組(局)納品のときは必ず入れます。

クレジット画面

(上の画像を右クリックして「画像を保存」すれば、クレジットのひな形として使用することができます)

  • ブラック
    黒味です。本編前後に入れます。ブラックバースト、略して「B.B」と書いたりもします。

  • 本編
    本編のスタートをタイムコードの切りの良いところにします。通常は01:00:00:00か、もしくは00:00:00:00です。(0時0分スタートの場合は、それの前のクレジット等のタイムは23:5x:xx:xxになります。)

  • 本編前後のステカット(放送用納品の場合のみ)
    放送用の納品では、必ず本編の前後に、本編にスムーズにつながる映像を入れておきます。これを「ステ(捨て)カット」といいます。(放送の場合、”入り”のタイミングが数秒ズレてしまうことも考えられるため、そこで一瞬BLACKが画面に映されたりしないためです。)本編最初のフレームと最後のフレームを静止画で置いておく「止め」で済ます場合も多いですが、動きつきで入っていればより理想的です。数秒~15秒位です。

  • テープ収録内容を記した「ビデオテープ記録表」をケースに同封
    ビデオテープ記録表(右クリック保存で雛形(Excel形式)をダウンロードできます)

  • 録画許可/禁止のツメを録画禁止側にしておく

  • 先頭まで巻き戻しておく

  • テープ・ケースにラベルを貼っておく

データ納品

PCノンリニア編集の時代になって、映像をデータで受け渡しすることも多くなってきました。特に、最終形納品ではなく、まだこれから編集をする場合などは、納品を受ける側はデータのほうが便利です。ただし、データには互換性がないものもありますので、納品先の指定する映像形式に変換が必要な場合もありますので注意してください。納品媒体については、映像データは大きいのでハードディスクを介すことが多いですが、量が小さいときなどは、ネットワークを介しての転送も不可能ではなくなりつつあります。

ネット納品する場合は圧縮しよう

ネットワークでデータを送るときのTipsとして、データは必ずzip圧縮してください。たいして小さくはなりませんが、その「圧縮」の意味よりも、万一データが転送中に破損した場合、zipの解凍時のエラーチェックによってその事実が「わかる」というのが重要なのです。生のAVIファイルだと、もしファイルの後半で一部が破損していても、PCが「その部分までは再生しようとしてくれる」ので、なかなかデータの破損に気付きにくいのです。

DVDマスターの納品

DVD-Videoの場合は、映像だけでなく、メニューやチャプターなども設定できて、複数の映像を選択再生可能なように作ることができます。これらの制作工程をオーサリングといい、DVDオーサリングソフトによって行います(EDIUSでも作成可能です)。
DVDの中に収録されている映像の形式は、MPEG2です(DVD-Videoをパソコンのエクスプローラで開いてみた方は「VOB」といったファイルが入っているのに気付いたかもしれませんが、これの正体はMPEGそのもの+付加情報です)※ 正確に言うとMPEG1も規格として認められているのですが、いまどきMPEG2の1/4の解像度であるMPEG1を使ってDVDオーサリングされることはまずありません。
以下の形式でエンコードしておけば、DVD-Videoに適切なMPEG2データとなります。(これは「最も無難な設定」の紹介です。DVD-Video規格自体はもっと幅があり、下記の値でなくても良いものがあります。)

  • 解像度:720×480
  • プロファイル・レベル:MP@ML
  • フレームレート(NTSC):29.97
  • フィールド優先:上位フィールド
  • 音声サンプリングレート:48kHz
  • 音声規格:PCM(WAV) または Dolby AC3
  • ビットレート(映像+音声で):4Mbps~9Mbps(規格の上限は9.8Mbps)

なお、本格的なプレスDVDのマスターは、DLT(Digital Linear Tape)というテープ・マスターか、DVD-R for Authoringというマスター専用規格のDVD-Rで作ります。

WEB用納品

インターネットのWWWを用いた映像配信には、大きく分けて、ダウンロード配信・プログレッシブダウンロード配信・ストリーミング配信という3つの方式があります。それぞれを説明します。

ダウンロード配信

ムービーファイルそのものをサーバーに置き、ユーザーにダウンロードして見て貰うやり方です。技術的にはもっとも単純・簡単ですが、ユーザーの手元にデータを渡してしまうことになるので、著作権的に問題あるデータではこのやり方はできません。

プログレッシブ・ダウンロード配信

「ファストスタート」とも呼ばれ、ファイル全体をダウンロードし終わらなくても、ダウンロードし終えた先頭部分から再生する方法です。かつては後述のストリーミング方式を使う必要があったのですが、今はFLASHやWindowsMediaPlayerやQuickTimeなどのブラウザ・プラグインがこの機能を備えたために、基本的にはサーバーにプログレッシブ・ダウンロード対応形式でエンコードしたファイルを置くだけでこの方法での再生が可能になりました。HTMLから動画ファイルを直接リンクせず、メタファイル(.asx等)を介することで、ユーザーのPCにダウンロードされたデータが残るのを防ぐこともできます。

ストリーミング配信

放送のように、サーバーから流された映像データをリアルタイムで再生する方法です。ユーザー端末にファイルをダウンロードさせないため、著作権保護が必要な配信サービスはほぼこの方式をとっています。「ストリーミング・サーバー」というサーバー側ソフトが必要で、そこにファイルを登録する必要があります。また、映像作品の配信でなく、いわゆる「ライブカメラ配信」も、ストリーミング配信で行われます。
WWW配信用の映像を作るときは、ピクセルアスペクト比をPCに合わせて1:1にし、ノンインターレース(プログレッシブ)で作りましょう。 また、回線の速度の速い「ブロードバンド用」と、遅い「ナローバンド用」の両方を用意するのが普通です。インターネットを使った映像配信技術は日進月歩なため、ここに具体的なことを書いてもたちまちその情報は古くなってしまうでしょう。ですので、ここでは大枠の概念を説明するにとどめました。これらがわかっていれば応用がきくはずです。