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データ圧縮

03 | データ圧縮

RGB空間とYUV空間

ある色を、光の3原色、赤(R)、緑(G)、青(B)に分解して定義する方法が、RGB色空間です。各色を8ビット=0~255のレベルで表現する場合、256X256X256=約1670万色の色が表現できることになります。RGB色空間はコンピュータ上の色定義方法として使われています。
先に紹介したように、NTSC方式は最初モノクロ放送で採用されました。モノクロ放送は輝度信号だけです。しかし、後にモノクロからカラーへ移行するため、輝度信号を残してカラー信号を組み入れる方法が考え出されました。輝度Yと各色RGBとの間には、次のような関係式があります。

Y = 0.299R+0.587G+0.114B

輝度Yと2つの色信号(厳密には、B-YとR-Y)によって色空間を定義したのです。この方法には、YUV色空間、YPbPr色空間などがあります。

YUVとYPbPr、YCbCr色空間

YUV色空間とYPbPr色空間は、同じ意味で使われることもありますが厳密には異なるものです。

YUV色空間

Y = 0.299 * R + 0.587 * G + 0.114 * B
U = 0.436 * (B – Y) / (1 – 0.114)
V = 0.615 * (R – Y) / (1 – 0.299)

YPbPr色空間

Y’ = 0.299 * R’ + 0.587 * G’ + 0.114 * B’
Pb = 0.5 * (B’ – Y’) / (1 – 0.114)
Pr = 0.5 * (R’ – Y’) / (1 – 0.299)

また、YpbPrを16~235のデジタル値に換算したものが、YCbCr色空間です。

サンプリング

NTSCの標準解像度(Standard Definition=SD)画面は720X486の画素で構成されています。カラー映像ではそれぞれの画素ごとに、YCbCr (RGB) の3つの色信号データが必要です。各色信号データを8ビット=2の8乗=256のレベルで表現する場合、1秒=29.97フレームあたりのデータ量は以下となります。

720×486(画面の解像度)x3(色情報)x8(8ビット/色)x29.97(フレーム/秒)
=240Mbps(メガビット/秒)

これは1時間あたり100GB以上のデータ量に相当し、記録・伝送・信号処理にかなり大掛かりなシステムが必要になってしまいます。
そこで、実際に使われている映像データは、サンプリングとデータ圧縮という処理によって、データレートの縮小が行われています。例えば、DVやDVCAMのデータレートは25Mbpsですから、約10分の1にデータが縮小されていることになります。

サンプリング方式

人間はもともと夜行性の動物だったため、人間の目は明るさ(輝度)には敏感ですが、色(色相・彩度)には比較的鈍感だと言われています。この特性を利用して、色データを「間引く」のがサンプリングです。
編集機器のカタログを見ると、「4:2:2」とか「4:1:1」などの記載がありますが、この数字が「間引き方」をあらわしています。

サンプリング方式(4:2:2)
4:2:2方式
Yは全画素、Cr、Cbは2つおきにサンプリング

サンプリング方式(4:2:0)
4:2:0方式
Yは全画素、Cr、Cbは2×2ブロックにつき1つサンプリング

サンプリング方式(4:1:1)
4:1:1方式
Yは全画素、Cr、Cbは横4画素おきにサンプリング

01-ビデオ・フォーマット02-HD(High Definition)の項で紹介した、デジタル/HDフォーマットの表では、各ビデオフォーマットがどのようなサンプリング方式を用いているのかも記載しています。

4:4:4方式とは

4:4:4方式とは、まったく色データのサンプリングを行わない「ロスレス」方式です。合成用の中間素材など、品質の劣化を特に避けたい場合に用います。
DV(NTSC)は4:1:1を採用しているため、横方向4ブロック単位のブロック化が見られ輪郭線にぎざぎざ(ジャギー)が現れやすくなっています。また、HDVは4:2:0方式を採用しており、同じサンプリング効率ですが輪郭のジャギーは出にくくなっています。
放送・業務用のフォーマットにはよりオリジナルに近い、4:2:2方式が使われています。

データ圧縮方法

多くのビデオ・フォーマットでは、色サンプリングした後に数値的な圧縮を行ない、さらにデータ量を圧縮しています。

1.DV

DVフォーマットは、離散コサイン変換(Discrete Cosine Transformation, DCT)+ハフマン符号化、という方法によってデータを約1/5に圧縮しています。(サンプリングとあわせると、約1/10圧縮となります。)DVフォーマットの圧縮は各画像フレームごとに行っており、前後のフレームの内容は影響しません。このような方法は、フレーム内(イントラフレーム)圧縮と呼ばれます。

2.MPEG-2

前後のフレームとの画像データの差異を使う方法を、フレーム間(インターフレーム)圧縮といいます。
例えばMPEG-2の場合は、15フレームをひとつのまとまり(Group Of Picture, GOP)とし、フレーム内だけで圧縮を行うフレーム(Iフレーム)と、前だけ、または前後のフレームとの差異を使うフレーム(Pフレーム、Bフレーム)の3種類のフレームを組み合わせて、圧縮効率を高めています。一方で、フレームの再構成作業が複雑になるため、編集機材の負担が大きくなります。MPEG-2を使っているHDVフォーマットの編集で、編集ソフトのレスポンスが遅くてイライラした経験を持つ方も多いでしょう。これはこのMPEG-2圧縮の特性が大きく影響しているのです。

H.264って?

H.264は、別名、MPEG4/AVC(Advanced Video Codec)、MPEG4 Part10、などとも呼ばれています。
SONYと松下が共同で定めた民生用のHD規格、AVCHD (Advanced Video Codec High Definition)は、圧縮アルゴリズムにこのH.264を採用しています。H.264は、MPEG2よりも圧縮アルゴリズムが改良され、圧縮効率は約2倍と言われています。